第40章 学校の始まり

午後になってようやく、塚本郁也が一人で戻ってきた。

客間で長い間待っていた古川有美子は、すぐに駆け寄った。「塚本慎平は?彼をどうしたの?」

「そんなに彼のことが気になるのか?」

塚本郁也の顔は陰鬱で、声には微かな不快感が滲んでいた。

古川有美子は胸がドキリとして、すぐに弁解した。「彼の言ったことなんて全然気にしてないわ。私たち年上の者が、年下の子とケンカするわけないでしょう?」

塚本郁也の表情が少し和らいだ。その言葉に気を良くしたようだった。

「あいつは出張だ。しばらくしたら戻る」

「そう」彼の表情はいつも通りで、古川有美子もそれ以上深く考えず、喉元まで上がっていた心臓がゆっく...

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